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まもなく世界遺産へ!オンライン資料も見られるル・コルビュジエの建築作品【追記:7/17に正式決定】

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建築家ル・コルビュジエの手がけた世界各地の建築物が世界文化遺産に登録されました。7月17日、トルコで開かれている世界遺産委員会で正式に決定されたものです。推薦作品のなかに東京・上野の国立西洋美術館も含まれていることから、日本でもかなりの注目を集めていますね。今回は、ル・コルビュジエの手がけた写真と残された建築資料を見ながら、その魅力をご紹介したいと思います。
(7/19追記:世界遺産委員の決定を受けて一部修正しました)

今回、世界遺産登録に勧告された作品は7カ国にわたる17施設で、「ル・コルビュジエの建築作品」と題して一括登録するよう、ユネスコの諮問機関であるイコモスから勧告されたものです。

それらの作品群には、代表作とされるマルセイユのユニテ・ダビタシオン、ロンシャンの礼拝堂、ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸などフランス国内の物件をはじめ、スイスのイムーブル・クラルテ、ドイツのヴァイセンホフ・ジードルングの住宅、インドのチャンディーガル…など。日本からは、国内唯一のコルビュジエ建築となる国立西洋美術館が含まれています。

■国内で唯一鑑賞できるコルビュジエ建築…「国立西洋美術館」

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© f11photo – Fotolia.com https://jp.fotolia.com/id/112341565

国立西洋美術館(1959年開館)は東京の上野公園内にあり、常時さまざまな西洋美術の展示会が開かれ、来場者で賑わっている建物です。


(FLC 24624)

コルビュジエ建築の特徴としてよく知られている、建物を柱で支えて1階部分の壁をなくした「ピロティ構造」が取り入れられています。
実際には、コルビュジエが同館の基本設計案、実施設計案を手がけ、ル・コルビュジエのもとで学んだ前川國男氏らが実施設計を行ったものです。


(FLC 29959)

将来的に拡張が必要になった場合に建物を継ぎ足して拡張できる構造になっていて、コルビュジエのコンセプトが体感できる場所なのです。JR上野駅公園口から徒歩約3分の場所ですので、この機会にぜひ見に行っていただければと思います。

■集合住宅の代表作、マルセイユの「ユニテ・ダビタシオン」(1952年竣工)

コルビュジエが提唱していたもう一つの重要なコンセプトが、「モデュロール」と呼ばれる、人体を基準とした建築の基準寸法です。
マルセイユのユニテ・ダビタシオンは、このモデュロールを厳格に適用し、第二次大戦後の復興期に建てられた18階建ての大規模集合住宅です。

Unité d'Habitation de Marseille 2
By Anapuig (Own work) [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

住戸は全て日照を確保されたメゾネットで、住戸のほかに保育園や屋上プール、郵便局、店舗などがあり、建物の中にコミュニティを成立させる試みもなされていました。


(FLC 26662)

このユニテ・ダビタシオンの1階も、柱だけを残したピロティ構造。コルビュジエの主張するピロティ構造には、「地上は歩行者や自動車のために開放されるべきである」との考え方が込められているのですが、1階がピロティになっていると、鉄筋コンクリート集合住宅にありがちな重厚な印象が和らぎ、カラフルに塗られた窓枠とあいまって、見る者の目を楽しませてくれるような印象があります。

現在、このユニテ・ダビタシオン内には実際の部屋に宿泊できるホテルもあるのです。フランスに旅行に行ったらぜひ訪れてみたい建物ですが、どうせ訪れるならそのまま泊まるのも面白そうですね。

le_corbusier_005

・ホテル ル・コルビュジエ
http://www.hotellecorbusier.com/

建築の新しい可能性を追求した「ロンシャンの礼拝堂」

RonchampCorbu.jpg
By Valueyou (talk) – I created this work entirely by myself., CC BY-SA 3.0, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=19648493

ロンシャンの礼拝堂(1955年竣工)は、もともとカトリックの巡礼地で、第二次大戦後の再建時にコルビュジエに設計が依頼されたものです。独創的なデザインの屋根、壁に開けられたたくさんの小さな窓に目を引きつけられる建物です。

建物の周囲をぐるっと回りながら見ていくと、見た目の形がさまざまに変化していく独特の造形。南側入口の扉では、コルビュジエの描いたカラフルな抽象画が飾られているのを見ることができます。


(FLC 07111)

コルビュジエは、「近代建築の五原則」(ピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立面建築)と呼ばれる、機能性や合理性を重視した概念を提唱しているのですが、このロンシャンの礼拝堂は、さらに新しい建築の可能性を追求した作品として位置づけられています。


(FLC 07119)

礼拝堂内部も外光を巧みに取り入れた設計。その空間はきわめて美しく、訪れた多くの人びとに高く評価されています。スイスとの国境近くに位置しているので、パリから日帰りで行くのはハードになりそうですが、1泊かけて観光に行くのも良さそうですね。

現在、コルビュジエの図面資料はオンラインで閲覧可能

今回の記事でご紹介した図面資料はいずれも、オンラインサービスの「LE CORBUSIER PLANS ONLINE」で閲覧できるものです。

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このサービスは、図書館や建築・美術・デザイン系の教育機関や企業などに向けて提供されているもので、コルビュジエが手がけた325のプロジェクトをカバーする、3万8000点以上の建築資料をPC、タブレット、スマートフォンから検索・閲覧できます。日本では、東京の芝浦工業大学をはじめ、さまざまな機関・施設で採用されているようです。

一部のプロジェクトについては研究者によって書き下ろされた解説文や写真などが加えられていて、建築を学ぶ学生や研究者、建築分野で活動する専門家など、コルビュジエの建築について深く知りたい人にとってはぜひ見てみたい資料となるでしょう。

現代の建築にも大きな影響を与え、世界文化遺産に登録されたル・コルビュジエの建築作品。
考えてみれば、私たちの生活の場となっている建築物は、どこかで必ず先人たちのさまざまな知恵を受け継いでいるはずです。

最近はますます暑さが増してきていますが、上野の国立近代美術館をぐるっと眺めて、コルビュジエがその作品に込めた思いや、現代の建築デザインにも受け継がれているアイデアやコンセプトに思いを巡らせてみてはいかがでしょう?


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佐藤勝

佐藤 勝Writer

ライター/編集者/何でも屋。Web、デザイン、映像、アート、観光などの記事執筆や、企業・団体のコンテンツ制作など、色々やらせていただいております。 INSPIでは、生活やビジネスに役立つものづくりの情報から、面白スポットやまちづくりまで、さまざまなテーマの記事をお届けします。
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