NY在住デザイナーが始めた復興のクラフトビール、「一本松ビール」
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突然ですが、皆さんはこの素敵なデザインの「一本松ビール」をご存知でしょうか?「こんなビールが日本にあったのか?どこで買えるのだろう?」と巷で噂のこのビール、実はラベルも中身もニューヨーク在住の日本人デザイナーが作ったものなのです。
この「一本松ビール」をデザインしたのは、愛知県出身の小林耕太さん。普段はデザインカンパニー「Huge」のビジュアルデザイナーとして、Google、Panasonic、American Expressなど、名だたる企業のWebサイトやムービーなどを手がけています。
小林さんは中学卒業後、自らの意思でアメリカの高校、大学へ進学。一旦日本で就職するも、「デザインで人の役に立つ仕事がしたい」という思いから、再び渡米してデザインを学び、ニューヨークのデザイン会社に就職して本格的に活動を開始します。
小林さんは、「一本松ビール」を作ったきっかけについて、こう話します。
「もともとビールが好きで、以前からビールづくりをやりたいと思っていたんです。ニューヨークで働き始めた頃に、自宅でビール醸造を始めたんですが、ちょうどその時、あの東日本大震災が起こって…。自分に何かできないだろうか?と考えた時に、まずは自分の好きなビールとデザインでできる支援をやってみよう、と思ったんです」
中身のビールは、「がんこミルクスタウト」(黒ビールタイプ)と「つよいストロングエール」(ペールエールタイプ)の2種類とし、ラベルのデザインは、陸前高田を襲った大津波に耐えたことで有名な「奇跡の一本松」をモチーフにしました。ボトルは市販のものを使っていますが、オリジナルのラベルを貼り、1本1本、手書きのラベルで封をして、シンプルかつ個性的なデザインに仕上げています。
小林さんは、こうして出来上がった「一本松ビール」を周りの人に無料で配り始めました。飲んだ人が自由に金額を決めて、募金できるようにしたのです。日本の被災地への支援のためにビールを配る活動はクチコミで大きく広がり、津波で店舗を失い、復興を目指す現地の酒屋さんに募金が届けられました。
このあたりの経緯は、小林さんと有志が作成したコンセプトムービーが分かりやすいです。
「一本松ビール」はデザイン振興団体UnderConsiderationのコンペで最優秀賞を受賞したのをはじめ、Dielineパッケージデザイン賞のビール部門最優秀賞など、国内外で数々の賞を獲得しています。
アメリカでは日本と違って、一定の生産量を超えなければ、個人のビール自家醸造が可能です。家庭用の醸造キットも販売されていて、個人醸造のクラフトビールは一つのカルチャーになっています。ただ、復興のためのビールを個人で製造し続けていたのでは、支援のスケールを大きく広げるのに限界があります。そこで、小林さんは新たなステップとして、ビール醸造に協力してくれる企業を探しているところです。
世界に注目される「一本松ビール」ですが、シンプルで美しいデザインはもちろん、たった1人でも自分にできることで行動を起こし、それを周り人々伝えながら支援の心を広げようとするコンセプトそのものが大きく評価されたのだと思います。
何より、デザイン賞の応募すること自体も、多くの人に活動を知ってもらうための手段のひとつ。1人の人間にできることはそんなに大きくないけれど、何かが始まる時もやはり1人から始まるんだな、と実感させられます。
「一本松ビール」、実際に飲んでみたくありませんか?
今週末の3月8日(土)、実際に「一本松ビール」が飲めるチャリティイベントが東京で開催されます。小林さんご本人もイベントのために来日し、tokyobikeやPizza Sliceなどの企業やお店、国内外のアーティストたちとのコラボレーションイベントも。ビール・ソフトドリンクが飲み放題で、一本松グラスのプレゼントもあるそうです。
誰でも参加可能ですので、「飲んでみたい!」「詳しい話を聞きたい!」という方はぜひFacebookページから参加申し込みをして下さい。
当日は私も参加予定です。会場でお会いできるのを楽しみにしております!
■小林耕太 Webサイト(英語)
■一本松 チャリティ イベント – Ippon Matsu Charity Event
日時:2014年3月8日(土) 13:00〜18:00
参加費:大人3,000円 (東北への寄付金になります、年齢確認のため、免許証等のIDをご持参下さい)、子供1,000円
Facebookイベントページ
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