アジアの造形をまるごと体験できる!シンガポール・デザイン巡りのススメ
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以前の記事で、ニューヨークのデザインについてご紹介しましたが、アジアの大都市・シンガポールもまた、アジア各地のさまざまな文化が交わる魅力的な街で、さまざまな切り口のデザインが学べて、楽しめます。今回は、私が実際に訪れた体験も織り交ぜながら、デザインの視点からシンガポールの楽しみ方をご紹介します。
■建築デザインを鑑賞する
シンガポールを訪れる者を圧倒するのは、なんといっても個性的な建築デザインでしょう。
代表的なものといえば、今やシンガポールを象徴するランドマークとなっている「マリーナ・ベイ・サンズ」。3つのビルの屋上に大きな船を置いたような、唯一無二のデザインは遠くからでも目を引きます。
客室フロアから吹き抜けを見下ろすと、3つのホテル棟を貫くメインストリートのスケールの大きさを体感できます。地下には大規模なショッピングモールがあり、1日じゅう遊べる場所なのですが、ホテル宿泊者だけが楽しめる場所が…
屋上プールです!
地上200メートルの高さから市街地のビル群を見下ろすことができる、長さ約150メートルの広大なプール。ここから見る夜景も素晴らしく、リゾート気分を十分味わえるのですが、筆者は「よくこんなところに強引にプールを作ったな…」と感慨にふけるばかりでした(笑)。
マリーナ・ベイ・サンズの付近には、他にも見どころがたくさんあります。
例えば、同ホテルの海側にある植物園「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」。
空に向かって伸びていく植物のような塔たちは、夜になるとカラフルに光り輝きます。夜には、光のショーも見られるので、夕方から夜にかけて訪問するのもおすすめ。
シンガポールの要注目建築は他にもたくさんあります。シンガポールの観光ポータルサイト「http://www.yoursingapore.com/」の公式動画サイトで、シンガポール建築の魅力を伝えるムービーが公開されています。
シンガポール建築の個性豊かな色や造形を、音とリズムに同期させて表現した作品です。同サイトには、シンガポール建築訪問ガイドのページがありますので、プランニングの参考にしていただければと思います。
■民族のデザインを楽しむ
マレー半島、中国、インドなど、アジア各地の文化が交錯するシンガポールは、各地の文化を一度に体験できる、ある意味お得なスポットです。なかでも、中国系移民をルーツに持つ「プラナカン文化」は、この土地独特のデザインを見せてくれます。
プラナカン文化が色濃く残る街「カトン」。
中国文化とマレー文化、ヨーロッパの文化がミックスした生活様式がプラナカン文化の特徴なのですが、この建築はテラスハウスでありながら、とてもカラフルで装飾も凝っていて目を奪われます。このあたりはどこを撮っても絵になる感じですね。
そのカトン地区からほど近いとことに、ヒンドゥー教寺院がありましたので、ふらっと入ってみました。
ここはスリ・センパガ・ヴィナヤガー寺院といい、ヒンドゥー教の神様・ガネーシャ(象の頭をもつ神様)を祀っているそうです。
極彩色の彫刻の数々や、奥ゆかしい物語を想起させる天井画に、時間を忘れて見入ってしまいます。
ちょうどその時、近所から信者の方が集まってきて「おつとめ」が始まるところでした。
「見ていていいですか?」と聞くと、快く見学させてもらえましたが、この儀式やお経(?)の声は、その場にいるだけでトランス状態になりそうなくらい独特でした。
インド文化を体験するなら、リトルインディアへ。普段からきれいなサリーを身にまとった女性が行き交う街ですが、布屋さんでサリー用の布を買うこともできます。インドのテキスタイル、とってもカラフルです。
リトルインディア中心部にある「テッカセンター・マーケット」では、インドのさまざまな衣裳や、布・ボタンなどの材料がリーズナブルな価格で販売されています。インドの衣装デザインに興味のある方は一度訪れたい場所です。
アラブ文化の街もあります!
その名もアラブ・ストリート。モスクも見学可能です。ですが、イスラムのルールに従って、男女別の入り口から入るなど、見学時の作法は予習しておいた方が良さそうです。
アラブ・ストリートでも、アラブ文化の色濃い服を買うことができます。リトルインディアと違って、アイテムの色の傾向がまったく違うのも面白いですね。
アラブ・ストリートで見つけたランプの専門店。
この、ガラスランプのデザインが何とも美しく、時間を忘れて見入ってしまいました。どこか日本の風鈴にも似た、親しみやすい形をしていますね。
他にも、以前の記事でご紹介した、インドネシアの伝統染物「バティック」をあしらった服や布なども、この近くで見つけました。もし、シンガポールを訪れたら、それぞれの民族のデザインを気軽に体験していただきたいですね。
■多民族国家ならではのデザインに学ぶ
シンガポールの街頭や施設のあちこちに、4カ国語表記の看板があります。この写真の看板に書かれた英語、中国語、マレー語、タミル語(南インド)は、シンガポールの公用語となっているのです。「ごみのポイ捨て」などにも厳しい罰金を課すことで知られているシンガポールですが、文化や習慣の異なる民族が共生する以上、細かなルールを決めて秩序を守っていくのだ、という考え方が根底にあるようです。
もちろん、人々を罰則で縛るだけでなく、民族や文化が違っても、不便を感じることのないようなユニバーサルデザインのあり方も、日本では体験できないものです。地下鉄の案内看板では、ピクトグラムと4カ国語表記を併用。日本の交通機関の案内板と比べてみるのも面白そうです。
こちらは歩行者用の押しボタン。日本のと違って、矢印がついているのが分かりやすいなと思いました。普通に旅行していると、こうしたインターフェースのデザインにはなかなか注意が行かないものですが、意識して観察すると、いろんな発見がありますね。
■デザインを学んだ後は、アジアの「食」を楽しもう
ここまで、いろんな切り口でシンガポールのデザインの楽しみ方をご紹介しました。
しかしながら、せっかく訪れたなら、やはりグルメも楽しんでいただければと思います。
各所にあるフードコートや屋台村などで、気軽に各国の料理が楽しめるのですが、シンガポール名物・海南チキンライスは必ず一度は食べておきたいですね。
先ほどご紹介した、リトルインディアの「テッカセンター・マーケット」の1階も、生鮮市場になっています。南国のフルーツや魚介類などが並んでいるので、見て、食べて楽しむことができます。
赤道近くにあるシンガポールは、雨が多いので雨具は必須ですが、一年を通して暖かい常夏の国。アジア文化のさまざまなデザインを一度に体験する旅行に、一度出かけてみませんか?
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