現役ライターが教えます!夏休みの読書感想文を素早くこなす、親の手伝い方
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お子様にとって楽しみな夏休みが始まりましたね。1カ月前後も休みがあるのは大人からするとうらやましい限りですが、同時にさまざまな宿題も出されます。なかでも、「読書感想文」は本を読んで文章を書くので時間とエネルギーを必要とします。計画的に進めておかないと、夏休み終了直前になって慌ててやり始めたり、最悪の場合は親が仕方なく手伝って書く…という事態にもなりかねません。親子そろってしんどい思いをしないために、読書感想文の宿題を速やかにクリアする方法を、現役ライターの筆者がご紹介します。
※トップ画像クレジット:
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感想文には「基本の型」がある
まず、本を一冊読むのは頑張ればできるけれど、「文章をどう書けばいいか分からない…」といったところでつまづくお子様が多いのではと思います。
ですが、実は読書感想文にも文章の「基本の型」があります。本を読んだ感想を誰かに伝えるのに最適な文章の定型に従って必要な内容を書いて行けば、ある程度まとまった感想文になるのです。
その定型とは、シンプルにまとめると、
(1)本のおおまかな内容
(2)読んでいて心が動いたところ
(3)本を読んで自分が得られたもの
このようになります。
感想文の文字数は学校や先生によって変わってくると思いますが、文章量の比率もこの図くらいの割合が良いのではと思います。
詳しく説明しますと、
(1)この本のおおまかな内容・あらすじ
なるべく短く簡潔にまとめます。ストーリーをそのまま述べていくと、ダラダラと長い文章になってしまうので、「〇〇と△△の友情の物語です。□□の時代、☆☆の町に住む〇〇と△△は……つらい別れのあと、大人になって成長した2人が☆☆の町再び出会うところで物語は終わります」という風に、本の概要を最初にひと言で書いて、そのあとストーリーの概略を書くと、読む側にもわかりやすい説明になります。
(2)読んでいて心を動かされたところ
自分の感想を書くところなので、一番印象に残った箇所を紹介し、それについて自分の心がどう動いたのかを、文字数をかけて説明します。
(3)読み終えた後、自分が得られたもの
本を読んだ感動や得られた知識をこれからの自分にどう活かしたいか、自分がどうしていきたいか…を書く。これが結論です。
実際に、例文を書いてみたので参考にしてみて下さい(文字の色が図の構成に対応しています)。
<例>※書名・内容は架空のものです
『トーマスとダニエルのピアノ』を読んで
この本は、目が見えないけれどピアノの上手なトーマスと、クラスで仲間外れにされていたダニエルの友情の物語です。2人の出会いのきっかけは、ある日の放課後にダニエルが音楽室の前を通りかかった時………………
私がこの物語のなかで心を動かされたのは、卒業式の前の日にトーマスがダニエルに言った次の言葉です。
「僕は君のことが大好きだ。でも、これからは君を応援することはできない」
卒業しても2人の友情は続いていくんだろう。そう思っていたのに、なぜトーマスはそんなことを言うんだろうと、とてももどかしい気持ちになりました。でも、その理由はやがてトーマスのピアノのメロディーからダニエルに伝わっていく……
私はこの本を読んで、音楽は時には言葉で伝えるのがむずかしい気持ちや、相手を大切に思いやる気持ちを伝えることができる、ということを知りました。これからは言葉だけでなく、いろんな方法で人と気持ちを通わせていくことを大切にしたいと思っています。
いかがでしょうか?
テンプレ通りの文章ですが、要点は伝わるーー読書感想文の宿題では、感動的な良い文章を書くことよりも、「どんな本を読み、どういうところに感動したか、自分はどういう影響を受けたか」の3点がきちんと伝われば十分なはずです。
こうした文章の「定型」を使うことは何も悪いことではありません。新聞などのニュース記事やビジネス文書などに決まった形があるように、文章の定型は伝えたいことをわかりやすく伝えるために、大人たちが普段から使っているものなのです。
読んでいて感動したり気になったところをメモする
さて、そうはいっても文章を書くことに慣れていないと、作文に時間がかかるもの。効率的に読書感想文を書くのに役立つのが、「付箋」あるいは「メモ」を使う方法です。
文章を読みながら、印象に残る部分のページに付箋をつける、あるいはその部分をノートに書き写して、なぜ自分の印象に残ったか、などをメモすると良いでしょう。それがそのまま上記の(2)を書く材料になります。
私たちのようなライターや編集者はインタビューなどで相手の話を聞いている時も、常に手を動かしてメモをとっています。
話を真剣に聞きながら、一方で「ここの部分は記事の核心になる大事な部分だな…」などと考えながら書き込みをしているのです。
読書感想文の場合も、最初に読む時にそれができるとかなり作業スピードが上がります。ですが、「メモを取らなきゃ」と思うあまり、肝心の文章に集中できなかったり、登場人物に感情移入できなかったりするのはもったいないので、無理せず一度読んでから、もう一度読み返しながらメモを取るのもオススメです。
なかなか書けない時は、内容を声に出してみる
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文章の定型も、感想文に書きたいところも分かったけれど、それでもなかなか書き始められない…という場合は、本人の口から、書く内容を話してもらうのをおすすめします。
ここは特に親が手伝ってあげられる部分だと思うのですが、先ほどご紹介した定型に従って、質問をしていくのが良いと思います。
(1)「この本はなどんな内容?どんなストーリー?」
(2)「この本のどこが印象に残った?」「その理由は?」
(3)「この本を読み終わって、新しく知ったことは何?」「これからそれをどう活かして行きたいと思う?」
など、対話をしながら、子供の感じたことや思いを引き出してあげましょう。
「いま自分で話したそのことを書けばいいんだよ」と励ましてあげれば、子供にとって文章を書くことは怖くなくなるはずです。
そもそも「面白そうだ」と思える本を選ぶのが大事
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さて、読書感想文の効率的な書き方のポイントをここまでご紹介しましたが、実はいちばん大事なのは「どの本を選ぶか」かも知れません。なるべくボリューム少ない、読むのが楽そうな本にしようと、内容にはあまり興味のないタイトルを選ぶと、いざ読み始めても、感想を書こうとしても苦痛になります。
ボリュームの多い少ないよりも、タイトルや本の表紙などが気になるかどうか、面白そうと思うかどうかで判断しましょう。図書館の本なら、少し時間をかけて最初の方を読んでみるのもおすすめです。
子供が自分の力でやり遂げられるようなサポートを
夏休みに家族旅行を予定しているなら、子供の宿題がきちんと進んでいるかどうかは気になるところ。特に厄介な読書感想文を早めに終わらせておけば、親子そろって旅行やイベントを大いに楽しめるはずです。
そして、読書感想文は文章の才能の有無にかかわらず、ポイントをおさえて書くコツさえつかめれば、それほど苦労しなくても書けるもの。自分の力で文章を完成させる体験は、本人の自信につながります。お子様と一緒に図書館に行ったり、感想を聞き出してあげたり、文章の定型について教えてあげたりと、親がサポートできることはいろいろあります。ぜひ、本人が楽しみながら感想文を完成させられるように、あたたかく応援してあげていただければと思います!
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