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作り方・コツ

時間がなくても、料理の写真をストロボで簡単・きれいに撮影する方法

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飲食店のメニュー写真をPOP、Webサイトなどに載せる場合、当然ながら料理の写真がきれいに撮れているかどうかが重要になります。今回は、あまり手間をかけずに、比較的きれいな料理写真を撮影する方法をご紹介します。

まず、デジタルカメラに内蔵のストロボを使って普通に料理を撮影すると、だいたいこうなります。

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ま正面からピカっと光が当たっているので、食材がてかりすぎて色合いがわかりにくく、立体感もいまいち伝わってきません。さらに、この写真ではレンズの影が出てしまっているので、かなりの失敗例といえるでしょう。

今回ご紹介するのは、フラッシュの光の当て方を変えて、より美しく料理写真を撮ることができるテクニックです。
(ただし、プロのフォトグラファーのレベルに及ぶものではありません。あくまで、簡単な方法で「普通に撮るよりは良くなる」レベルとお考え下さい)

1. 用意する機材

(1) 外付けストロボが使えるデジタルカメラ
(2) クリップオンストロボ

今回ご紹介する方法では、外付けストロボを使いますので、(1)のデジカメは、外付けストロボが装着・使用できるものが必要になります。
デジタル一眼レフであれば、初心者向けのモデルでも使用可能なものがほとんどですし、コンパクトカメラでも、ストロボ取り付け用のクイックシューがついているものがあります。決して高価なカメラでなければいけない、ということではありません。

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CANON Powershot G9。外付けストロボが使用可能です

(2)のストロボは、発光の向きを上下方向に変えられるものが必要です。それが可能なものなら、お持ちのデジカメのメーカーから出ている純正のストロボでも良いですし、予算が厳しい場合は、汎用の安価なストロボでも大丈夫です。
大型の大光量モデルもありますが、今回はキッチンや室内といった狭い撮影場所を想定しているので、光量の小さなモデルで十分です。

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私の所有している、サンパックの汎用スロトボ「Auto 22SR」(生産終了)。コンパクトですが、いろいろと使えます。

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このように、発光の向きを変えられるのがポイント。

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今回は、FUJIFILM のミラーレスカメラ「X-E1」に、サンパックの汎用スロトボ「Auto 25SR」を装着して撮影してみます。さっそく、実際に撮影をしながら、撮り方を見て行きましょう。

2. ストロボのセッティング

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外付けストロボにも光量を自動調整する機能が付いているのですが、今回は光量を固定させて使用します。狭いキッチンで撮影するので、「16分の1」に設定してみました。

3. カメラのセッティング

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カメラ本体の方は、絞り・シャッタースピードを自分で設定できる「マニュアルモード(Mモード)」を選択します。

(デジタル一眼レフや、外付けストロボが装着可能なコンパクトカメラのほとんどでMモードが使えるはずですが、もしこれからカメラを購入される場合は、Mモードがあるかどうかをご確認下さい)

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試し撮りをしながら設定を合わせていくので、とりあえずシャッタースピードを60分の1秒、絞りを5.6に設定しました。

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ストロボの光は太陽光とだいたい同じ色温度なので、ホワイトバランスは「太陽光」に設定。もし、「ストロボ」というモードがある場合は、そちらでも大丈夫です。

3. 試し撮りをする

料理が出来上がってから試し撮りをして設定を変えていたら、出来たての新鮮さがどんどん失われていってしまいます。料理が出来上がる前に、セッティングをある程度詰めておきましょう。

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撮影場所はキッチンの調理台。試しにバナナをお皿に置いて撮影してみます。

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カメラをバナナに向けた時、ストロボの光が調理台の壁にうまく反射するよう、向きを調節します。

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試し撮りの結果です。バナナの向こう側から光が当たっているので、輪郭や立体感がはっきりと出て、色合いも自然な感じに出ています。手前にバナナの影が出ているのが気になりますが、まずはこれで本番の撮影にいってみましょう。

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もし、撮影してみて光が足りない場合は、ストロボの光量をアップするか、カメラの絞り値を調整(5.6 → 4.5 という風に値を下げる)して撮り直してみましょう。

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逆に、光が多すぎて飛んでしまう場合は、ストロボの光量を下げるか、カメラの絞り値を調整(5.6 → 8 という風に値を上げる)して撮り直してみましょう。

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調整の結果、ちょうど良い明るさでとらえることができました。具のごろごろ感や色合いなども十分表現できていますね。
ただ、先ほどのバナナでも気になったように、お皿の手前側に影ができて、やや暗くなっている印象です。

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そこで、食べ物の手前に白い布を立てて、調理台の壁に反射させた光をもう一度、手前から反射させてみましょう。布がなければ、Tシャツや割烹着などでも構いません。

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手前の影がやや解消され、料理全体をバランス良い明るさでとらえることができました。

ここで気をつけたいのが、調理台の壁の色。
シルバーや白といった場合は、光をそのまま反射させても問題ないのですが、例えばウッド調の壁だったりすると、その色が反射光に反映されてしまいます。

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試しに、木のまな板に光を反射させて撮ってみますと…

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やや黄色がかった光が返ってくるため、料理やお皿も含め、全体的に黄色がかぶってしまいました。もし、キッチンの壁に色がついている場合は、そこに白い紙や布を貼っておきましょう。

4. 撮影のポイントまとめ

いかがでしたでしょうか?
デジカメと外付けストロボを揃えるという投資は必要ですが、デジカメ単体で撮るよりはかなりきれいに仕上がる方法ですので、ぜひお試しいただきたいと思います。

撮影のポイントをまとめますと、

(1) 光を正面ではなく、壁に反射させて当てる
(2) 反射させる壁は白かシルバーが理想的(色がある場合は白い紙や布を貼る)
(3) 事前に試し撮りをして、セッティングを固めてから料理を仕上げる
(4) 手前側が暗くなりすぎる場合は、手前側に白い布を立てて光を再度反射させる

お店のWebサイトやメニュー冊子、広告媒体などに料理の写真を載せる場合は、やはりプロのフォトグラファーに依頼し、最高のクオリティで撮ってもらうのが理想的です。被写体に応じた光の作り方、撮り方などのノウハウは、私のような素人の及ぶレベルではありません。

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しかしながら、例えば「本日のおすすめ」メニューを撮影してすぐに公開したい場合や、試しに作ってみた新メニューを美しい写真で記録したい場合など、時間も手間もかけられない状況であれば、今回のテクニックがきっと役に立つことと思います。

こんな風に、調理中の写真を撮るのにも使えます。

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小型の外付けストロボは、あると本当に便利です。今回の料理写真をはじめ、結婚式、パーティー、小物、屋外でのポートレートなど、さまざまな場面で重宝しますので、これを機にぜひ導入してみてはいかがでしょうか?


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佐藤勝

佐藤 勝Writer

ライター/編集者/何でも屋。Web、デザイン、映像、アート、観光などの記事執筆や、企業・団体のコンテンツ制作など、色々やらせていただいております。 INSPIでは、生活やビジネスに役立つものづくりの情報から、面白スポットやまちづくりまで、さまざまなテーマの記事をお届けします。
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