
【調査レポート】その電子カタログ、AIは読めますか?──電子ブック主要4サービスのAI可読性を実測調査
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ChatGPTやGemini、Perplexity、ClaudeといったAIアシスタントで情報を探すことが、あたりまえになりつつあります。では、あなたの会社が公開している電子カタログ、AIは「読めて」いるでしょうか?
当社(電子カタログ作成サービスebook5を運営する株式会社ルーラー)は、電子ブック・電子カタログ主要4サービスを対象に、AIがコンテンツを読み取り・引用できるかを検証する「電子カタログAI可読性調査 2026」を実施しました。本記事では、プレスリリースでは紹介しきれなかった調査方法の詳細まで含めて、結果をフルレポートします。
目次
- 1. 調査サマリー
- 2. 調査結果①:AI可読性スコア(7項目・35点満点)
- 3. 調査結果②:読めないカタログに、AIは何と答えるか
- 4. 調査結果③:AIに引用される電子カタログの4条件
- 5. 調査方法の詳細(監査項目の定義と判定基準)
- 6. ebook5のAIフレンドリー設計について
- 7. 調査概要
1. 調査サマリー
電子カタログをAIが引用するには「取得 → 抽出 → 理解 → 引用」の4段階すべての通過が必要。4段階を通過できたのは調査対象4サービス中1サービスのみだった。
あるサービスでは、調査時点で配信ホストのrobots.txtが全クローラーを拒否しており、外部のAI・検索エンジンからは実質的に存在しない状態になっていた。
読めないカタログに対しAIは必ずしも「読めない」と答えるのではなく、内容を創作する/別情報で代用する/誤って帰属させるという3種の挙動が実測された。

2. 調査結果①:AI可読性スコア(7項目・35点満点)
各サービスの運営会社が自社で公開している代表的なブック1点を対象に、7項目を同一手順で監査しました。
サービススコア
ebook5 34/35
海外サービスC 16/35
国産サービスA 13/35
国産サービスB 5/35
※本スコアは公開情報から確認できる構造監査(7項目)のみに基づく評価であり、調査結果2の実挙動テストの結果はスコアに含めていません。実挙動テストは、構造上の差が実際のAIの挙動として現れるかを確認する検証として、独立して実施しています。
多くの電子ブックサービスはページを画像として表示するため、見た目には同じでも、AIやクローラーから見た「読める度合い」には大きな差があります。スコアに差が生じた要因はサービスごとに異なりました。
・クローラーの全面拒否
robots.txtで全クローラーを拒否。AIから見れば存在しないのと同じ。
・本文が画像のみ/検索用の平文のみ
テキストが無い、または本体と紐付かない形式でしか存在しない。
・テキストが表示紙面と別言語
日本語で表示される紙面の裏で、検索用テキストは英語ソースのまま。
・引用先URLの不在
ページを直接開けるURLが、AIが読める形でどこにも書かれていない。

AIがカタログの内容をユーザーに届けるには「①取得(クローラーが入れる)→②抽出(テキストが取れる)→③理解(構造と言語が正しい)→④引用(ページURLを示せる)」の4つの関門をすべて通過する必要があります。各サービスがどの関門で止まったかを図に示しました。
3. 調査結果②:読めないカタログに、AIは何と答えるか
主要対話型AI4種に対し、各ブックのURLを添えて「内容を3行で要約してください」等の同一質問を行ったところ、AIが内容を読み取れない場合の挙動として次の4種が観測されました。

1. 正直に「読めない」と答える
読めなかったケースで最も多く観測された誠実な挙動。ただしこの場合もカタログはその会話から退場し、機会損失につながります。
2. 創作する
URL文字列の断片から、実在しない企業のカタログ内容を自信を持って生成した例を確認しました。
3. すり替える
カタログの内容ではなく、Web上にある運営会社のサービス紹介情報で回答を構成した例を確認しました。
4. 誤って帰属させる
同一ドメイン内にある別ページの内容を「このカタログの内容」として提示した例を確認しました。
特に4は、コンテンツ本体との機械的な紐付け(canonical・alternate・構造化データ等)が存在しない場合に起こりやすいと考えられます。この状態では、AIが帰属の判断に使える手がかりはドメインやタイトルの一致といった情報に限られ、AIが実際に何を根拠に同一コンテンツと判断したのかを、外部から確かめることはできません。だからこそ、帰属を機械的に宣言・検証できる「読める」構造を持つことが、こうした取り違えの余地を減らすうえで意味を持ちます。
4. 調査結果③:AIが正しく引用するためにできること——電子カタログの4条件
本調査から、プラットフォームを問わず適用できる普遍的なチェックリストが導かれます。お使いの電子カタログサービスの状態は、いずれも外部から確認可能です。

条件1:入口が開いている ── robots.txtがAIクローラーの巡回を許可している。
条件2:表示と一致するテキスト ── 紙面と同じ言語・同じ内容の機械可読テキストが提供されている。
条件3:構造化されている ── 見出し・メタ情報・構造化データで「何のどのページか」を判別できる。
条件4:引用先URLの明記 ── 各ページを直接開けるURLが、テキストとして本文中に書かれている。
なお、これら4条件はAIに引用される可能性を高めるための設計要件であり、充足すればあらゆるAIが常に正確に引用することを保証するものではありません。AIの回答はモデルやバージョン、検索インデックスの状態、その時々の取得成否によって変動し、本調査でも全条件を満たすブックに対してAIが取得に失敗するケースは観測されています。
5. 調査方法の詳細(監査項目の定義と判定基準)
本調査の再現性のため、方法の詳細を開示します。
構造監査(7項目・各5点)
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 1. AIクローラーの受け入れ | 配信ホストのrobots.txtにおける主要AIクローラー(GPTBot、ClaudeBot、PerplexityBot、Google-Extended等)の許可状況 |
| 2. HTML自体の情報量 | 初期HTMLに本文・見出し・画像altが含まれるか |
| 3. 機械可読テキストの提供 | 本文全文のテキスト/Markdown等が外部から取得可能な形で提供されているか |
| 4. テキストと表示の一致 | 提供テキストが表示紙面と同一言語・同一内容か |
| 5. 構造化データ | title/meta/OGP/JSON-LD/見出し構造の有無 |
| 6. ページ個別URLの存在 | 特定ページを直接開けるURL形式が存在し、動作するか |
| 7. ページURLの露出 | そのURLがコンテンツ内にAIが読める形で明記されているか |
実挙動テスト
主要対話型AI4種に対し、検証専用アカウント・新規チャット・同一質問文・同一実施順で、各ブックへの質問(3行要約/特定ページの内容/特定ページを開くURL)を実施。回答は実際の紙面と突き合わせて判定しました。
評価の訂正について
調査の過程で、1サービスについて当初監査で見落としていた検索用の全文テキストファイル(公開・表示と同一内容)を追加検証で確認したため、同サービスの評価を上方修正しています(13/35は修正後の値)。ただし同ファイルはブック本体との同一性を宣言する機械可読な紐付けを持たない提供形式であり、AIや第三者が内容の同一性を検証する手段は提供されていない点は、評価上の留保として付記します。
発表までの経緯(検出→修正→追試)
1. 7月18日: 調査手法を自社適用し、一部クローラー向けテキスト提供の不具合を検出(本調査のスコア・実挙動テスト結果には影響しません)
2. 7月27日: 修正を本番反映
3. 8月3日: 実挙動キットv1.2・調査時と同一手順で追試を実施
4. 結果: 追試の16項目(AI4種×4段階)中13項目で○を確認。調査対象AIすべてで本文テキストの取得・抽出が機能していることを確認。残る3項目は特定AIにおける回答形式・ページ説明の揺らぎと考えられ、詳細は下記の測定記録で確認可能です
なお本追試は、不具合の対象だったテキスト提供状態が意図どおりに戻ったことの確認であり、調査結果①のスコア(7項目・35点満点)に対する再測定ではありません。
追試の測定記録(2026年8月3日実施)
実施: 2026年8月3日/手順: 実挙動キットv1.2(調査時と同一の質問文・実施順・検証専用アカウント・新規チャット)/対象: 当社ブック(コンセプトブックver5)
| ①取得 | ②抽出 | ③理解 | ④引用 | |
|---|---|---|---|---|
| AI-1 | ○ | ○ | △ | ○ |
| AI-2 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| AI-3 | ○ | ○ | ○ | △ |
| AI-4 | ○ | ○ | △ | ○ |
※△は、特定ページの説明に別ページの内容が含まれた例、引用URLの形式が想定形式(?page=N)と異なった例、特定ページの本文展開に失敗した例で、いずれも本文テキストの取得・抽出とは独立した回答の揺らぎと考えられます。回答はすべて実際の紙面と突き合わせて判定しています。AIの個別名と判定の対応は、本調査の他記録と同様に公表していません。
また、当社サーバ側の取得記録との突合でも、ChatGPT・Claude・Perplexityからの当日の取得アクセスを確認しています(いずれも各社公式IPレンジとの一致を検証済み。Geminiは検索インデックスを参照して回答するケースが多く見られ、取得アクセスを伴わない傾向が観察されています)。
配信前の変化確認(2026年8月3日実施)
調査時点(7月16日〜17日)から本記事公開までの間に、他社3サービスの調査対象ブックの外形状態に変化がないかを、公開情報の範囲で確認しました。
| robots.txtの方針 | 静的HTML本文 | 機械可読テキストの提供 | |
|---|---|---|---|
| 海外サービスC | 変化なし | 変化なし | 変化なし |
| 国産サービスA | 変化なし | 変化なし | 変化なし |
| 国産サービスB | 変化なし | 変化なし | 変化なし |
上記のとおり、各項目について調査時点からの変化は確認されませんでした。
6. ebook5のAIフレンドリー設計について
ebook5は2026年6月の公式サイト全面リニューアルとあわせて、「AIフレンドリー」を柱とした配信設計を進めています。
ブック本文やタイトル情報をHTML(静的テキスト)とMarkdownの2形式で機械可読提供(AI-OCRによりテキスト情報を持たないPDFや画像原稿のブックもテキスト化)し、各ページを直接開けるURL(?page=N形式)を機械可読テキスト(llm-content.md)内に全ページ分テキストとして明記(ブックのHTMLからは<link rel="alternate">と構造化データで同ファイルへ機械的に紐付け)。実挙動テストでは、AIが回答の中でこのページURLを自発的に案内する事例も確認されました。また、AIクローラーを歓迎するrobots.txt・llms.txtを両配信ドメインに整備しました。
当社は本調査で用いた観測を今後も定期的に実施し、自社サービスを含む電子カタログのAI可読性の変化を追跡していきます。
7. 調査概要
調査名:電子カタログAI可読性調査 2026
調査主体:株式会社ルーラー(当社調べ)
調査時期:2026年7月16日〜17日
調査対象:電子ブック・電子カタログ主要4サービス(当社を含む)において、各サービスの運営会社が自社で公開している代表的なブック各1点
調査方法:(1) 公開URL・公開アセットの範囲で同一手順による構造監査(7項目) (2) 主要対話型AI4種に対する同一質問文での実挙動テスト
備考:
※調査対象は、国内外で広く利用されている電子ブック作成サービスから当社が選定した4サービス(当社を含む)です。他社サービス名は公表していません。スコアは各サービスが自社で公開している代表ブック各1点の測定値であり、各サービス全体やすべてのブックの評価を示すものではありません。
※本調査は各サービスの優劣ではなく、設計思想の違いを示すものです。閲覧制限等のクローズドな配布に最適化された設計では、AI・検索からの発見性が制限される場合があります。
※調査過程の追加検証により1サービスの評価を上方修正しており、その旨を上記「評価の訂正について」に開示しています。
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